心理発達
- 遺伝と環境による影響と発達段階
- 新生児の能力
- 児童期の認知発達1-ピアジェの発達段階理論
- 児童期の認知発達2-ピアジェ理論への批判
- ピアジェに代わる理論
- 心の理論・メタ認知の発達
- 道徳的判断の発達
- 人格と社会性の発達
- 初期の社会的行動
- 愛着(attachment)-1
- 愛着(attachment)-2養育態度
- 自己概念(self-concept)
- 青年期の発達
- 思春期の心理的影響:自我同一性と同一性地位
- 同一性地位の発達
この章での基本的概念 | 概念の簡易的な説明 |
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成熟 (maturation) |
先天的に決められた成長と変化の連続であり、相対的に見て、環境的な出来事とは独立の関係にある |
発達の段階 (stages of development) |
生態の構造や機能における質的変化を表すために提案された、通常、前進的な順序に沿った発達の時期(フロイトの心理的発達段階やピアジェの認知発達段階ばど) |
臨界期 (critical periods) |
人間の一生には決定的な時期というものが存在し、その後正常な発達のためには、この時期に、特定の事象・出来事が生じなければならない |
敏感期 (sensitive periods) |
ある特定の種類の発達にとって最適な時期 |
視野 (visual field) |
固定された点を見ているときに見えている視覚範囲 |
顔への好み (facial preference) |
新生児における、先天的に学習されていない、顔への好み |
スキーマ (schema) |
物理的世界や社会的世界はどのように作用しているかに関する理論;人、物、出来事、あるいは状況の集合についての心的表象;情報の知覚・整理・処理・活用を促進する認知構造に関する組織化された信念や知識 |
同化 (assimilation) |
ピアジェの認知発達理論によると、乳児が既存のシェマ(スキーマ)を使って新奇の事物や事象を整理する過程 |
調節 (accommodation) |
①目の水晶体がその焦点を合わせる過程②ピアジェの認知発達理論で使われている用語。幼児が新奇の対象や出来事を組み込むためにすでに形成したシェマ(スキーマ)を修正する過程 |
感覚運動段階 (sensorimotor stage) |
乳児が自らの活動とその活動の結果との関係を発見する忙しい時期 |
対象の永続性 (object permanence) |
対象物はたとえ視界から見えなくなっても存在し続けるという認識 |
前操作段階 (preoperational stage) |
ピアジェの認知発達に関する第二段階。この時期の子供は表象的思考を行うが、特定の規則や操作を理解することはまだできない |
操作 (operation) |
精神的な過程であり、情報を区分し、統合し、またそのほかの変形を論理的に行う過程 |
保存 (conservation) |
物の量は、その形が変わったとしても、同じままであるという理解 |
自己中心性 (egocentrism) |
自分以外の視点が存在することがわからず、周りのすべての人も自分と同じように外界を知覚しているという確信 |
具体的操作段階 (concrete operational stage) |
ピアジェの認知発達の第三段階(7~11歳)で、この期間中に子供は論理的思考と保存ができるようになる |
形式的操作段階 (formal operational stage) |
ピアジェの認知発達の第四段階で、子供は抽象的規則を使うことができるようになる |
情報処理技能 (information-processing skills) |
環境から情報を集め分析する特定の技能 |
知識 (knowledge) |
発達のための知識獲得アプローチによれば、いかに事実が特定の領域において体制化されているかといった子供の理解のこと |
社会的文化的アプローチ (sociocultural approach) |
子どもを「真の」知識を探求する物理学者としてではなく、ある文化に生まれた出た新参者として、その文化の持つレンズを介して社会的現実をどう見るべきなのかを学ぶことによってその文化の下に生まれた人になろうとする存在である。という捉え方によって特徴づけられる発達に対する接近法である |
メタ認知 (metacognition) |
認知を認知すること。 人間が自分自身を認識する場合において、自分の思考や行動そのものを対象として客観的に把握し認識すること。 それをおこなう能力をメタ認知能力という |
心の理論 (theory of mind) |
ヒトや類人猿などが、他者の心の状態、目的、意図、知識、信念、志向、疑念、推測などを推測する心の機能 |
自閉症 (autism) |
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道徳的判断 (moral judgment) |
道徳的規則や社会的習慣についての子供の理解 |
道徳性判断の発達における前慣習的水準 (preconventional level of moral development) |
子どもが予期される罰に基づいて行動が正しいか悪いかを判断するという道徳性判断の発達水準 |
道徳性判断における慣習的水準 (conventional level of moral development) |
子どもがほかの人の意見に照らしてその行動を評価するという道徳性判断の発達水準 |
道徳性判断の発達における後慣習的水準 (postconventional level of moral development) |
子どもが高次の論理的原則に照らして行動を判断するという道徳性判断の発達水準 |
気質 (temperament) |
気分に関した人格特性 |
扱いやすい気質 (easy temperament) |
よく遊び、睡眠や食事習慣が規則的であり、新しい状況に容易に適応する子どもを表す際に用いられる用語 |
気難しい気質 (difficult temperament) |
感情の起伏が激しく、睡眠や食事習慣が不規則であり、新しい状況にかたくなにかつ否定的に反応する子どもを表す際に用いられる用語 |
ゆっくりと適応する気質 (slow to warm up temperament) |
活動水準が低く、新しい状況から緩やかに遠ざかる傾向があり、新しい状況に対し適応するのに容易な気質の乳児よりも多くの時間を必要とする子どもを表す際に用いられる用語 |
分離不安 (separation anxiety) |
養育者がいなくなったときに感じる苦痛 |
愛着 (attachment) |
乳児が特定の人との密接な関係を求める傾向や、それらの人がいることにより安心する傾向 |
ストレンジ・シチュエーション (strange situation) |
大人に対する子どもの愛着の安定性を評価するためにの実験室用の手続きで、大人(通常は母親)は退室し、再び戻ってくるときの大人に対する子どもの一連の行動が観察される |
安定愛着型 (securely attached) |
母親が戻ってくると母親との相互関係を求める子供を表す際に用いられる用語 |
不安定愛着型:回避型 (insecurely attached:avoidant) |
再会場面において母親に対し両面的ないし抵抗を示した子供を表す際に用いられる用語 |
不安定愛着型:両価型 (insecurely attached:ambivalent) |
再会場面において母親に対し両面的ないし抵抗を示した子供を表す際に用いられる用語 |
無秩序型 (disorganized) |
母親に対して愛着と関連した矛盾する行動を示す子供を表す際に用いられる用語 |
応答感受性 (sensitive responsiveness) |
赤ちゃんが泣くとすぐさま反応し、赤ちゃんを抱き上げ、そして愛情深く行動する母親の特徴。また自分たちの反応を赤ちゃんの要求に密接に合わせようとする |
自己概念 (self-concepts) |
個人の自己についての基本感覚ないしは自己についての捉え方 |
自尊心 (self-esteem) |
個人の自己の価値についての評価 |
性同一性 (gender identity) |
自分自身について男性か女性かの確かな感覚 |
性の型づけ (sex typing) |
文化が性に合ったものとして考える行動や特徴の獲得 |
ジェンダー・スキーマ (gender schema) |
知覚的、概念的世界を、性的カテゴリー(男性=女性、男らしい=女らしい)の中に組織化する心的構造 |
青年期 (adolescence) |
児童期から成人期への移行期 |
思春期 (puberty) |
性的に成熟し、子供から生物学的に成熟した大人へと変容し、性的生殖が可能になる時期 |
初潮 (menarche) |
最初の月経期 |
自我同一性の危機 (identity crisis) |
エリクソンの心理社会的発達理論では、自己に懐疑的になったり、自己を明確にする質問(「私はだれか」「私はどこへ行くのか」)がしきりになされる時期で、その危機は典型的に青年期に起こる |
自我同一性の混乱 (identity confusion) |
一貫した自己の感覚を持つことも、あるいは人生の主要な領域で自己の価値を評価するための一連の内的基準を持つこともない場合に生じる |