NPO法人日本統合医学協会

日常に仕事に活かせる!【アドラー心理学検定1級講座】

アドラー心理学とは、オーストリア出身の精神科医・アルフレッド・アドラーによって提唱された心理学の体系です。
アドラーは「人間の悩みはすべて対人関係である」としており、この講座では、その悩みの根源を知り、幸せへの一歩を踏み出す方法が学べます。

心理学における生物学的基礎

心理学における生物学的基礎、つまり、脳の基本的な名称、機能とそれによる現象についてで、それらがどのように発生し、またどのように身体や機能に対し影響、現象をもたらすのかなど、心理学において密接に関わり合う脳の基本的なメカニズムの理解が求めらる。

この章での基本的概念 概念の簡易的な説明
痛覚閾値
(pain threshold)
痛みとして感じる最小の刺激強度のこと
疼痛耐性
(pain tolerance)
痛みに耐えられる最大の刺激強度のこと
神経系
(nervous system)
全ての神経組織のこと

(brain)
頭蓋骨の中に入っている中枢神経系の部分
脊髄
(spinalcord)
脊椎(背骨)の脊髄腔の中を通り、全身に枝を出す神経の束
中枢神経系
(central nervous system)
脳と脊髄にあるすべてのニューロン
末梢神経系
(peripheral nervous system)
脳や脊髄を、身体のほかの部分と連結している神経
求心性神経
(afferent nerves)
信号を体から中枢神経に運ぶ神経
遠心性神経
(efferent nerves)
信号を中枢神経から身体に伝達する神経のこと
体性神経系
(somatic system)
メッセージを感覚受容器、筋肉、身体表面と相互にやり取りする
自律神経系
(autonomic system)
内臓や内分泌腺と繋がっている
ニューロン
(neuron)
神経インパルスすなわちメッセージをほかのニューロンや内分泌腺や筋肉に伝える特殊化した細胞
樹状突起
(dendrites)
ニューロンの細胞体から出ている短枝で、隣接する細胞から神経インパルスを受け取る
軸索
(axon)
他のニューロンにインパルスを伝達するニューロンの一部
終末ボタン
(termina buttons)
軸索の終末の多くの小さな隆起で、あるニューロンから隣接したニューロンへの信号を伝達することを担い、神経伝達物質と呼ばれる化学物質を放出する
シナプス
(synapse)
あるニューロンの軸索と別のニューロンの樹状突起や細胞体との間の機能的接続
シナプス間隙
(synaptic gap)
終末ボタンとニューロンを受け取る細胞体や樹状突起との間にあるわずかな隙間のこと
神経伝達物質
(neurotransmitter)
シナプス間隙に放出され、次のニューロンを刺激する化学物質のこと
感覚ニューロン
(sensory neuron)
受容器からインパルスを中枢神経系へ伝達するニューロンのこと
受容器
(receptor)
特定の刺激に対し、求心性のニューロンからできている神経に連絡する特殊な細胞(たとえば、眼の網膜)。もっとわかりやすく表現すると、それらの感覚部位を含む器官(目や耳など)のこと
運動ニューロン
(motor neuron)
中枢神経(脳や脊髄)から筋肉や内分泌腺などへ、外向きに出ていく信号を運ぶニューロンのこと
介在ニューロン
(interneuron)
感覚ニューロンと運動ニューロンを接続するニューロン
神経
(nerve)
何百何千ものニューロンの軸索の細長い束
神経核
(nucleus)
 脳や脊髄に密集して存在する神経細胞体の集まり
神経節
(ganglion)
脳や脊髄の外側にある神経細胞体の集まり
グリア細胞
(glial cell)
ニューロンではなく、その支持細胞であり、脳組織のの重要な部分を構成し、最近の知見では神経伝達において重要な役割を担っていることが示唆されている
活動電位
(action potential)
樹状突起の部分から軸索の末端まで伝達する電気化学的インパルス
イオン
(ion)
荷電された分子のこと
イオン・チャンネル
(ion channel)
特定のイオンを細胞内へ取り込み、あるいは細胞外へ追い出す特殊なタンパク質分子のこと。適当な神経伝達物質分子に反応して、開閉するイオン・チャンネルがある。そのほかは細胞膜の電圧変化に反応して開閉する。この過程は、脱分極や神経インパルスの発火を制限する
イオン・ポンプ
(ion pump)
細胞膜内外のイオン分布の差を維持するために、ポンプのように内側や外側へイオンの移送を行うたんぱく質の構造
分極した
(polarized)
細胞膜のイオンの選択的透過性により、その外側が陽性(+)、内側が陰性(-)に帯電して電位差が生じている状態
静止電位
(resting potential)
静止時のニューロンの電位のこと。ほとんどのニューロンの静止電位は-70ミリボルト(mV)である
興奮閾値
(excitation threshold)
最小の興奮をおこす刺激の強さのことで、もし、電位が興奮閾値(ほとんどのニューロンは-55mV)以上に上昇すれば、細胞膜は一過性に不安になり、活動電位が発生する
脱分極
(depolarized)
細胞膜のイオンの選択的透過性により、その外側が陽性(+)、内側が陰性(-)に帯電して電位差が生じている(分極している)状態から、陽性の方向に膜電位が変化して電位差のない(分極していない)状態に近づくこと
不応期
(refractory period)
一つの活動電位が生じた後に別の活動電位は起きない非常にわずかな時間(約千分の一秒)
ミエリン鞘
(depolarized)
ランビエ絞輪
(nodes of ranvier)
跳躍電動
(saltatory conduction)
神経インパルスがランビエ絞輪を次々と飛んでいくときに生じす
全か無かの法則
(all-or-none law)
ニューロンは活動電位が起こるか、起こらないかのいずれであるという原理
鍵と鍵穴の作用
(lock-and-key action)
興奮性(興奮)
(excitatory)
ナトリウム・イオンのような陽性に荷電されたイオンが後シナプスニューロンを透過すると、後シナプスニューロンは興奮しやすくなり、この脱分極により活動電位が発生しやすくなる
抑制性(抑制)
(inhibitory)
陽性に荷電したが後シナプス神経細胞から出て行ったり、陰性に荷電したイオンが入っていったりするシナプス伝達のこと。後シナプス神経細胞は過分極を起こし、結果として活動電位の発生する可能性が下がる。
過分極
(hyperpolarized)
静止電位よりも分極した状態のこと
再取り込み
(reuptake)
神経伝達物質が放出されたシナプス終末に再び「取り上げられる(再吸収される)」過程
分解
(degradation)
受け手側ニューロンの細胞膜にある酵素が、神経伝達物質と反応し、科学的に分解され、不活性化される過程、すなわち神経伝達物質の作用を終結させる一つの方法(再取り込みに加えて)
後脳
(hindbrain)
脊髄に最も近い、脳の後部に位置するすべての構造
中脳
(midbrain)
脳の中部
前脳
(forebrain)
脳の前部に位置する構造
中心核
(central core)
生存に必要な根本的過程を統御する構造を含む、脳の中心にあたる部分
辺縁系
(limbic system)
視床下部と密接に相互連絡する組織で、視床下部や脳幹によって調整される本能的行動のいくつかに補助的な制御を果たしている
大脳
(cerebrum)
脳の二つの半球
延髄
(medulla)
脳幹の最下部に位置し、上は橋と下は脊髄と連なる。大脳の右半球は左半身を制御し、左半球は右半身を制御するので、重要な神経経路が交差する部位

(pons)
 延髄の上にある脳構造で、睡眠の調整や注意の制御に重要な役割を果たしている。
網様体
(reticular formation)
脳幹の中の不明瞭な神経路と接続の組織で、明瞭な神経路の外側に位置し、覚醒機構として重要である
小脳
(cerebellum)
脳幹後部に位置し、浅烈構造を持つ。小脳では、筋肉の働きの統御や複雑な働きの調節などが行われる
上下丘
(superior and inferior colliculus)
黒質
(substantia nigra)
中脳の底に近く,大脳脚の背方,赤核の側方にある灰白質で,ヒトではメラニン色素に富む神経細胞が集っているので黒く見えるが,他の動物では色素の沈着はない。錐体外路系に属し,同側の終脳核や大脳核や大脳皮質から刺激を受け,横紋筋の運動と緊張とを無意識的に調節する。パーキンソン病ではこの黒質に障害が起る。
大脳皮質
(cerebral cortex)
ヒトを含む高等動物の大脳半球表層で、一般的には灰白質と呼ばれる
視床
(thalamus)
脳幹上部、大脳半球の内側に位置する二つの神経細胞核で、脳の中心核の一部と考えられている。一つは感覚中継基地としての役割をもち、ほかの一つは睡眠や歩行をつかさどる。この部分は、大脳辺縁系の一部と考えられている
視床下部
(hypothalamus)
脳幹のすぐ上、そして視床のすぐ下に位置する小さいが非常に重要な組織である。これは脳の中心核の一部と考えられており、食物摂取、水分接種、性、ならびに情動といった動機づけ行動を制御し、ホメオスタシスを維持する機能を持つ
ホメオスタシス(生体恒常性)
(homeostasis)
健康な生体の特徴である機能の正常水準を維持する過程。あるいは、恒常的な内的状態
下垂体
(pituitary gland)
内分泌器官で脳に接して、脳の直下(腹側)に存在しホルモンの中枢
辺縁系
(limbic system)
視床下部と密接に相互連絡する組織で、視床下部や脳幹によって調節される本能的行動のいくつかに補助的な制御を果たしている
海馬
(hippocampus)
大脳皮質の下部に位置する構造で、ここでは新しい記憶構造の結合が行われる。海馬の役割は相互参照機構に類するもので、脳の中にばらばらに保存されている特定の記憶情報を相互に結びつける
偏桃体
(amygdala)
大脳皮質の下にある脳組織で、感情の記憶の整理統合が行われる
脳梁
(corpus callosum)
左右の大脳半球をつなぐ交連線維の太い束で、大脳の正中深く、すなわち大脳縦裂の底、側脳室の背側壁に位置し、左右の大脳皮質の間で情報をやり取りする経路となっている
大脳縦裂
(longitudial fissure)
左右の大脳半球の間の溝。大脳鎌が間に入っている。大脳縦裂の底には脳梁があり、両側面には大脳内側面の皮質、帯状回などがある
半球
(hemispheres)
脳梁でつながった脳の左右両側の二つからなる構造
前頭葉
(frontal lobe)
前頭葉は両側の大脳半球の前部に存在し、頭頂葉の前側、側頭葉の上前方に位置する。前頭葉と頭頂葉の間には一次運動野が存在する。一次運動野は中心前回に関連付けられた特定の身体部位の随意運動を制御している
頭頂葉
(parietal lobe)
前頭葉は両側の大脳半球の前部に存在し、頭頂葉の前側、側頭葉の上前方に位置する。前頭葉と頭頂葉の間には一次運動野が存在する。一次運動野は中心前回に関連付けられた特定の身体部位の随意運動を制御している
後頭葉
(occipital lobe)
大脳葉のひとつで大脳半球の最尾側にある。哺乳類では視覚形成の中心であり、視覚野の解剖学的領域の大部分が後頭葉にある
側頭葉
(temporal lobe)
大脳葉のひとつで、言語、記憶、聴覚に関わっている。側頭葉は脳の側面、外側溝の下に存在する
中心溝
(central fissure)
脊椎動物の脳の大脳皮質にある脳溝の1つで、頭頂葉と前頭葉の境界となる。中心溝の前壁は一次運動野となっており体の各部位へ筋肉を動かすための信号を出力している。後壁は一次感覚野となっており、体の各部位から感覚情報の入力を受けとる領域となっている
外側溝
(lateral fissure)
ヒトの脳の最も特徴的な構造の一つで、前頭葉、および頭頂葉と、側頭葉を上下に分けている。外側溝は大脳の両半球に存在するが、左半球のものの方が長い。外側溝はヒトの脳の発生の最も初期に形成される脳溝の1つであり、妊娠約14週目には見ることができる
一次運動野
(primary motor area)
前運動野と共同して運動の計画、実行を行う。一次運動野にはベッツ細胞 (Betz cell) と呼ばれる、脊髄を下行する長い神経繊維を持った細胞が多く存在する。この神経線維はアルファ運動ニューロンと呼ばれる筋肉に接続したニューロンとシナプス接続している。前運動野は行動の計画 (大脳基底核と共同して) と感覚情報に基づく運動の最適化 (これには小脳の働きが必要である) に関わっている
一次体性感覚野
(primary somatosensory area)
大脳の外側面にある脳回の一つ。頭頂葉の最も前側に位置し、特徴的な構造として大脳表面の分類の重要な目印となる。体の各部位から体性感覚の入力を受け取る領域である
一次視覚野
(primary visual area)
一次視覚野は後頭葉 (後頭葉は視覚刺激の処理を担っている) の後頭極に位置している。一次視覚野は、最も単純で最も初期に活動する視覚野で、静止、または運動する対象に関する情報の処理に特化し、また、パターン認識に力を発揮する
視交叉
(optic chiasm)
左右の眼球の網膜からでた視神経繊維が分岐し交わるところ。それぞれの鼻側の半分の繊維が視床下部の先端で交叉している。立体視に大きな役割を果たしていると考えられている
一次聴覚野
(primary auditory area)
脳の領域の1つで、聴覚 (音) 情報の処理を担う領域である。 側頭葉の上側頭回、横側頭回に位置し、視床の内側膝状体から聴放線を通じて、信号を受けている
連合野
(association area)
大脳皮質の領野 (支配部域))のうち、運動野、感覚野以外の領野のこと。前頭連合野と側頭連合野に区分される。視床,視床下部のような皮質より下の部位からのニューロンを受けており,他の感覚野,運動野のニューロンとも連絡をもっている。連合野は高度な精神活動に深い関係があるので、この領野に障害が起ると、思考、意欲、感情、判断など、高等な働きが失われてしまう
事象関連電位
(ERPs event-related potentials)
脳波計(EEGs)を使って、刺激に対する反応や運動に先立つ反応を、頭皮上で脳の電気的活動として測定するための技術
コンピュータ断層撮影
(CAT or CT computerized axial tomography)
脳の活動を記録するために用いられるX線技術
陽電子放射断層撮影
(PET positron emission tomography)
グルコースに混ぜた放射性追跡子を用いて脳の活動を計測するコンピュータ断層撮影の方法
機能的磁気共鳴断層撮影
(fMRI functional magnetic resonance imaging)
酸素消費量から生じる磁気変化を測定することによって脳活動を測定する脳画像技術
失語症
(aphasia)
脳損傷によって引き起こされる言語障害
ブローカ野
(Broca’s area)
大脳左半球の部位で、言葉の制御に関わっている。この領域に損傷を受けた人は語を正しく発音することが困難で、非常にゆっくり苦しそうな話し方になり、彼らの言葉はたいてい理解できるが、鍵となるごしかなかったりする
ウェルニッケ野
(Wernicke’s area)
言語理解に関与する左の脳半球に位置する部分。この部分が損傷を受けると、言語を聞くことができても理解することができなくなる
交感神経
(sympathetic nervous system)
脊髄の胸腰部外角から出発する神経線維を持ち、脊髄中央部にある左右二対の神経節連鎖によって特徴づけられる自律神経系の一つ
副交感神経
(parasympathetic nervous system)
自律神経系の一部で、脊髄頭部と仙部に発する神経線維。身体の弛緩・静止状態を促進し、交感神経とある程度拮抗的に作用する
内分泌系
(endocrine system)
ホルモンを分泌する器官のこと
ホルモン
(hormones)
内分泌系により血中に分泌され身体の他の部分に運ばれ、そこでそのホルモンを認識する細胞に特定の作用をもたらす化学物質
自然淘汰
(natural selection)
自然的な原因によって特定の個体が選択的に生き残ること
行動遺伝学
(behavior genetics)
行動特徴の遺伝を研究するため遺伝学と心理学の方法論が結合されている
究極の原因
(ultimate cause)
一つの現象を取出した場合、その原因としては一定の存在を措定することができる。しかしこの存在も別の原因に由来するものにほかならず、因果関係は長い連鎖を遡及することになる。無限の遡及は不可能であるから、この連鎖の極に第一原因が措定される
直接の原因
(proximate cause)
適応
(adaptive)
適応行動は生存のために重要である
性淘汰
(sexual selection)
異性をめぐる競争を通じて起きる進化のこと
遺伝子
(genes)
基本的遺伝単位を形成するデオキシリボ核酸(DNA)分子の部分
染色体
(chromosomes)
身体の個々の細胞の核にみられる構造
性染色体関連形質
(sex-linked trait)
23番目の染色体対に関連して遺伝的に決定される特徴と障害
多因子遺伝(多遺伝子)
(polygenic)
複数の遺伝子によって決定される特徴
品種改良
(selective breeding)
生物の形質について、人為的に選択して経代を続け、その変化を望む方向に誘導する行為、またはその結果
一卵性
(monozygotic)
一卵性双生児は、一つの受精卵から発生するので、まったく同じ遺伝子を持っている
二卵性
(dizygotic)
二卵性双生児は異なる精子に受精した二卵から誕生し、遺伝情報はそれぞれ独自であるので、通常の兄弟と同様に似ている面もあれば似ていない面もある
タイトルとURLをコピーしました