視覚-3/パターンを見る

視力(visual acuity)とは、細部を解析する目の能力のことで、視力を測定する方法はいくつかある。

一番よく見られる測定器具は、検眼士の部屋にあるおなじみの視力検査表である。この表は、1862年にヘルマン・スネレン(Herman Snellen)によって考案された。


出典:Wikipedia

スネレン視力は、眼鏡をかける必要のない人と比較して測定される。たとえば20/20という視力は、典型的な被験者が20メートル離れたところから読める文字を、被験者がその距離から同定出来ることを表す。

20/100という視力は典型的な被験者が100メートル離れたところから読むことの出来る大きさの文字を、20メートルのところからでないと読めないことを意味する。後者の場合は、視力が標準以下である。

ただし、スネレンの検査方法は必ずしも一番良い方法とは言えない理由もいくつかある。

第一に、この方法は読みを知らない幼い子どもやほかの人たちには適さない。

第二に、この方法は(例えば10メートル)離れたところから見える物体に対してだけ視力を検査するように設計されているのであり、読書その他、距離の接近した課題に対して視力を測定するのではない。

第三に、この方法は空間視力(spatial acuity:形の細部を見る能力)対比視力(contrast acuity)の区別をしていない。

図Aは、視力検査で用いられる典型的な形の実例を示している。矢印はそれぞれの弁別されるべき細部を示している。その細部は、それぞれ、単に、明から暗へあかるさの変化が存在する視野の領域であることに注目してほしい(Coren,Ward,&Enns,1999)。

パターンを見ることに結びついた感覚経験は、視覚ニューロンが明と暗についての情報を記録する仕方によって決定される。視覚様相の最も原始的な要素は、縁または輪郭であり、明から案への推移またはその逆の推移の存在する領域である。

縁の登録に対する最初の影響の一つは、網膜にある神経節細胞が相互作用する力によって生ずる(視覚-2(感度)参照)。

この相互作用の効果は図Bに示されたヘルマン格子として知られる模様を見ることによって観察可能である。

黒い正方形を隔てる白い隙間の交差部分に灰色のシミのようなものが見える。この経験を当惑する点は、凝視している交差部分自体は、灰色のシミみたいなもので塞がれているようには見えないことである。今凝視していない交差部分だけが灰色のシミのようなものの錯覚を与えるのである。

この錯覚は、活性状態にある神経節細胞の隣接細胞間で活動を減少させる結合の直接の結果である。たとえば、格子の白い交差部分の一つに焦点を合わせた神経節細胞は、発火率を減少させる信号を、四方の隣接する神経細胞(すなわち、交差部分の上下左右の白い間隙に焦点を合わせられた細胞)から受け取っているであろう。

これが側方抑制として知られる現象である。一方、白い横列または縦列の一つに位置を定められた神経節細胞は、発火率を減少させる信号を、両側の隣接する細胞のみから受け取っているであろう。

その結果、交差部分は、そこに焦点を合わせた神経節細胞が、発火率を減少させる信号をより多く受け取ることを反映して、白い横列または縦列よりも暗く見えるわけである。側方抑制の目的は、縁の一方を暗くしもう一方を明るくすることによって縁検出を促進することである。

しかし、なぜそのシミのようなものは直接見ている交差部分ではなく、わきの離れたところでのみ見えるのであろうか。こういうことが起きるのは、信号の送られる範囲が中心窩では周辺部よりずっと小さいからである。

個の配置が、周辺部よりも中心窩で私たちがより大きな視力を持っていることに寄与しているわけである。

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