条件刺激の予報性(認知的要因)

パブロフらは、古典的条件づけで条件刺激(conditioned stimulus:CS)と無条件刺激(unconditioned stimulus:US)をあまり時間を置かないで対提示する時間的接近性(temporally contiguous)が条件づけの基本的な条件であると考えた。

すなわち、条件刺激と無条件刺激とが時間的に接近して生じれば条件づけは生じると言う考えで、この考え方によれば刺激の時間的に接近した対提示の回数が条件づけの重要な変数となる。

一方、これに対しレスコーラ(1968)は条件刺激の予報性(生体の認知的な要因)を重要視し接近性と予報性を対比した。そこでただ単に時間的接近性だけでは条件づけの成立には不十分であり、条件刺激は無条件刺激の確かな予測因でなければならないことを証明した。

レスコーラの考えでは、もし生体にとって条件刺激が無条件刺激を予想させるものなら条件づけは生じるとし、またそのような場合、無条件刺激は条件刺激に随伴(contingent)していると言う。(CSがないときよりもあるときの方がUSは生じやすくなる)

実際、レスコーラの実験では音を条件刺激(中性刺激)とし電気ショックなどの嫌悪刺激を無条件刺激とした恐怖条件づけを行った。

*以下は条件刺激をCS、無条件刺激をUSと表記。

実験では各郡ともに16試行にわたって提示され、ある試行ではCSが生じた後にUS(CS+US)が伴い、他の試行ではCSかUSのみが生じ、残りの試行ではCSもUSも生じない。

図は、B、CともにCS+USの試行回数は両群とも同じで、CSだけが生じる回数も同じであり、違うのはUSだけが生じる試行回数である。

Aは標準的な条件づけの手続きで音が提示されるたびに嫌悪刺激が同時あるいは数秒以内に提示され、時間的接近性の条件も満たし、音は嫌悪刺激の予報信号としての機能も果たしている。

条件刺激の予報性-レスコーラの実験1

Bは、すべての嫌悪刺激が音の後に生じ、Cは嫌悪刺激が音があってもなくても無関係に生じる。

もし、時間的接近性が条件づけを決定づける要因ならばB、Cは対提示の回数は同じでも時間的に接近していないCS、USが生じるので両群ともに条件づけは成立しないと予想される。

予報性が条件づけの重要な要因なのであれば、BではCS(音)はUS(嫌悪刺激)を予測させ、CではCS(音)とは無関係でUS(嫌悪刺激)が生じるので予測力はない。したがってBは条件づけは成立するがCでは成立はしないと予想された。

この実験結果では、レスコーラの予想通りB郡は条件づけが成立し音を聞いただけで恐怖反応を引き起こすようになり、C郡では条件づけは成立しなかった。

つまり条件づけの強さは、USの出現の信号となるCSの予測的価値に直接関係していた。

その後、様々な実験を行った結果CSとUSの間の予測的関係は、時間的接近性あるいはCSとUSが対にさせる頻度よりも重要である可能性が高いと考えられた。

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