ヤークス・ドットソンの法則とヘッブの覚醒理論

カナダの研究者ドナルド・ヘッブ(Donald Hebb)は動機づけについての理論(覚醒理論)もまとめ、この観点は行動論的アプローチと生理学的アプローチ間の「隙を埋める」のにも役立っている。

覚醒(arousal)は、生理学的次元と心理学的次元の両方を持ち、生理学的には生体の覚醒水準(生理的活性度)を言い、心理学的には平穏から不安まで様々な覚醒水準に伴う緊張のことを言う。

ヘッブ学説において、覚醒は重要な動機づけの概念で(Hebb,1955)、あらゆる生体は従事する行動にとって最適な覚醒水準を維持するように動機づけられているとするものである。この見解はヤークス・ドットソンの法則(Yerkes-Dodson law:Yerkes&Dodson,1908)に基づいており、遂行を覚醒に関連付けている。

このヤークス・ドットソンの法則では、ほとんどの課題が生理学的覚醒の中間水準で最良の遂行になることを示していて、非常に複雑な課題は十分に覚醒が結びついているので、落ち着きを求めるように個人を動かす。反対に、非常に簡単な課題は覚醒水準が低く、退屈になってしまうというものである。

ヘッブによれば暇な人は覚醒水準を高めようと他の活動や新奇刺激を求めるとしており、他の諸家(多くのいろいろな人。特に、その道の専門家・研究者として認められている人々)は、今までのところ人間の探索行動(explor-atory behavior:新しいものを見つけたり学習する欲求)は刺激を求める欲求の結果であり、それは覚醒理論によって説明され得るということで一致している(Beryne,1966)。

誘因(incentives)と目的指向行動

また、動機づけの研究におき初期の理論家は誘因(incentives)に注目し、行動は予期した報酬が動機になっていると考えた。たとえば飢えた動物は空腹を低減させるために食べるという行動に駆り立てられる(Hull,1943)。

ヘッブやトールマンや当時の緒家同様もどうように、多くの人間行動は直後の報酬という期待だけでは引き起こされ得ないと指摘している。例えば大学で勉強する動機には「学位」をとりたい「知識を増やしたい」などの理由が少なからずあると思うが、「卒業したい」「希望する企業に就職したい」などの長期目標が現在の動機となっているという。

これは、複合した目標指向行動の一例である。

認知が現在の行動の長期的な結果を予想する能力に関連しているということが明白である。複合学習は自己決定と達成といった心理学的欲求から生じる目標指向行動として考えることが出来る。

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