学習の研究において行動主義からより認知的なアプローチへの変遷は、脳の知見によっても影響を受けている。カナダの研究者ドナルド・ヘッブ(Donald Hebb)が学習と脳についての初期の理論に多大な貢献をした。
ヘッブは、人間を生物学的有機体と進化の産物として捉え、心的過程は脳と神経系を含む過程、ならびに学習は神経活動の変化を含む過程とした。
彼は、ニューロンAからの入力がニューロンBの発火率を繰り返し高まると、ニューロンAとBの伝達効率は増強される、言い換えると同じ反応の繰り返しはニューロン間のシナプスに長期的変化を引き起こすことになると論じた(1958)。この見解はヘッブの学習側(Hebbian learning rule)として知られている。
ヘッブの時代にはこの見解は理論的推測であったが、近年の神経学的変化の基礎をなす生物学的知見はヘッブの見解を立証しているようでもある(神経可塑性:この神経可塑性は簡単に説明すると、神経系が経験に対応して変化する能力である。詳しくは心理学の生物学的な基礎で)。
学習に関しての中心的な考え方は、(1)シナプスのいくつかの変化が学習の神経的基礎であり、(2)この変化の影響がそのシナプスを効率よく、あるいは悪くさせるということである。
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