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【生物学的基礎】進化・遺伝・行動(2)

自然淘汰は遺伝子(genes)に作用するが、それは基本的遺伝単位を形成するデオキシリボ核酸(DNA)分子の部分である。私たちが親から受け取り、子孫に渡す遺伝子は身体の個々の細胞の核にみられる構造である染色体(chromosomes)によって運ばれる。

ほとんどの体細胞は46の染色体を有する。受精時、ヒトは23個の染色体を父の精子から、そして23個の染色体を母の卵から受け取り、その後細胞が分割するたびに複製される。
染色体1
DNAの構造-1
DNA分子はねじれたはしごあるいは二重らせん形(スパイラル)に見える。

それぞれ遺伝子は細胞に符号化された指示を与え、特定の機能(たいていは特定のタンパクの産出)の実行を指示する。身体のすべての細胞は同じ遺伝子を持っているが、遺伝子の5%から10%のみを活動状態にすることで、それぞれ特定の性質を発現させている。

受精卵からの発達の過程でそれぞれの細胞はある遺伝子をオンの状態にし、そのほかの遺伝子をオフの状態にする。たとえば、「神経遺伝子」が活動状態にあるとき、遺伝子が指令して細胞に神経機能を実行できるようにする産物を作り出すので細胞はニューロンになる(これは「筋遺伝子」のような不適切な遺伝子がオフにされなければできないことである)。

遺伝子も染色体のように対になっている。それぞれの対の一つの遺伝子は精子染色体からできており、もう一つの遺伝子は卵子染色体からできている。よって子どもはそれぞれの親の遺伝子全体の半分だけを受け取る。個々のヒトの遺伝子の数は全部で約千あるいはそれ以上である。

遺伝子の数が多いので、たとえきょうだいでもまったく同じ遺伝子を二人のヒトが持つという可能性は極めて低い。唯一の例外は一卵性双生児で、同じ受精卵から発達するまでまったく同じ遺伝子を持つ。

優性・劣性遺伝子

対の遺伝子のいずれもが、優性あるいは劣性の可能性を持つ。対の遺伝子の両方が優勢であるときは、それぞれがその優性遺伝子が特定する形質を現す。対の遺伝子の片方が優性で、片方が劣性である場合は、優性遺伝子が形質を決定する。

親から遺伝子が両方とも劣性であるときだけ、劣性の形質が出現する。たとえば目の色を決定する遺伝子の場合、青は劣性で茶は優勢である。だから、青い目の子供は青い目の両親か一方の親が青い目で一方が茶色い(青い目の劣性遺伝子をもっている場合)、あるいは両親とも茶色の目(それぞれが青い目の劣性遺伝子を持っている場合)となる。

茶色の目の子供は、対照的に両親とも青い目であることはない。ほかに劣性遺伝するものには、脱毛症、白皮症、血友病、漆によるかぶれやすさなどがある。

ほとんどのヒトの特徴は一対の遺伝子によって決定されないが、一つの遺伝子がきわめて重要となる際立った例外が存在する。心理学的知見からとくに興味深いのは、フェ二ルケトン尿症(PKU)、ハンチントン病(HD)のような疾患で、これらは神経系の崩壊と行動、認知障害を伴う。

遺伝学者はこれら両方の障害を引き起こす遺伝子をすでに特定している。

PKUは両方の親から遺伝した劣性遺伝子の作用の結果である。乳幼児は必須アミノ酸(フェニールアラニン)を退社できず、体の中に蓄積し、神経系を傷害し非可逆的な脳損傷を引き起こす。PUK児は重度の発達遅延を生じ、多くは30歳までに亡くなる。

もしPKU障害が出生時に発見され、フェニールアラニン量を制御する食事療法を直ちに行えば、肉体的にも知的にも健康である可能性は十分にある。PKU遺伝子が特定されるまで、この障害は乳幼児が少なくとも生後3週間が経たないと診断することができなかった。

現在は胎児がPKU遺伝子を持つかどうかを調べることができるので、出生と同時に適切な食事療法を開始できる。

ハンチントン病は一つの優性遺伝子によって引き起こされる。HD患者は話したり動きを制御することが徐々に困難になり、記憶障害や知的障害が顕著になる。この疾患は30歳から40歳にかけて発症し、これ以前には症状がない。

現在、ハンチントン遺伝子は特定されており、この疾患の危険性を検査し、この遺伝子を持っているかどうかがわかる。まだHDの治療法はないが、この遺伝子をつくるタンパクはわかっており、治療法に結びつく可能性がある。

性染色体関連遺伝子

正常な女性は23対中、X染色体と呼ばれる二つの類似した染色体をもっている。正常な男性は23対の中にX染色体一つとY染色体と呼ばれる少し違う染色体を一つ持っている。そのため正常女性の染色体対はXX、正常男性の染色体対はXYで表現される。

じょせいはX染色体を二つ持っているので、X染色体で運ばれる劣性形質から守られる。男性はX染色体を一つ、Y染色体を一つ持っているわけであるが、これらの染色体の一つで運ばれる遺伝子が、もう一つの染色体にある優性遺伝子により拮抗されないので、劣性形質が現れやすい。

遺伝的に決定される特徴と障害の多様性は23番目の染色体対に関連しており、そのため性染色体関連形質(sex-linked trait)と呼ばれる。たとえば色盲は劣性の性染色体関連形質である。女性が色盲になることは、色盲かあるいはその劣性遺伝子を持っている母親と色盲の父親を持たなければならないので確率的に低くなる。

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