この項目は古典的条件づけ(classical conditioning)の続きになるので、先にそちらを読んだ方が理解が深まります。
獲得(acquisition)
図は、実験においてイヌの学習曲線(lerning curve)を表している。
パブロフの実験では、条件刺激(conditioned stimulus:CS)とその後に続く無条件刺激(uncon-ditioned stimulus:US)の一回一回の対提示は強化試行と呼ばれ、これらが対となり繰り返し提示されることがこの二つの間の連合を強めると考えられている。
また、図1の初期段階に見られる条件反応(conditioned response:CR)の強さの増大(唾液分泌の反応)が示されている。これが実験での獲得(acquisition)段階で、条件反応の強さの変化は初期の条件づけ試行で起こり、その後の変化は小さくなる。
消去(extinction)
条件づけ後、条件刺激のみを繰り返し提示して無条件刺激を提示しなかった場合、条件反応は徐々に減少していく。
図2のようにエサ(無条件刺激)がないと10回ほどの試行で唾液分泌が生じなくなる。このような現象を条件反応の消去(extinction)と呼ばれる。この消去で条件刺激がこれ以上無条件刺激の予報にならないと言うことをイヌが学習したことを表している。
自発的回復(spontaneous recovery)
消去後であっても一定の期間イヌに休息時間を与え、再度、条件刺激を提示すると減少していた唾液分泌が再び現れる。この現象を自発的回復(spontaneous recovery)と呼ばれ、この現象では強化試行がなくても条件刺激が条件反応(conditioned response:CR)を引き起こす。
図のように、回復後の条件反応は獲得後の反応よりも弱い傾向にあり、再度、条件刺激のみを繰り返し提示していくと条件反応も再び減少する。
これらの事から、消去は既に学習した条件反応を取り消す手続きと言うのではなく、一時的に条件反応を抑制する過程が含まれていることが分かり、イヌはエサ(無条件刺激)の出現を予想させるために用いた音(条件刺激)を覚えていたことを意味している。
以上の学習曲線1.2.3をまとめたものが下図になる。
反応般化(般化)(response generalization)
条件づけにより条件反応をするように訓練されたイヌは、その訓練された条件刺激に対してだけではなく、それに類似した刺激に対しても条件反応が生じる。この現象を反応般化(般化)(response generalization)と呼ばれる。
この反応は新しい刺激が元の条件刺激に類似していればしているほど同じ反応を起こす可能性が高くなる。
また、ある波長(音の高さ)を条件刺激として条件づけを行った後では、その音に類似した波長の音に対しても条件反応が生じる。逆に元の条件刺激から波長が遠ざかるにつれて条件反応を引き起こすことが減少する。このことを般化勾配(はんかこうばい)とよばれる。
刺激弁別(分化)(stimulus discrimination)
般化と補い合う過程に弁別(分化)があり、刺激般化は類似性に対する反応であるが、刺激弁別(分化)(stimulus discrimination)は相違性に対する反応になる。
これは、二つの刺激の片方には無条件刺激を伴わせ、もう一方には無条件刺激を伴わせないで条件刺激を提示すると、極端に刺激が類似していなければ無条件刺激を伴わせた刺激に対しては条件反応が生じ、伴わせない刺激には生じない。
このように刺激を区別するようになる現象が弁別(分化)である。
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