古典的条件づけは、恐怖などの情動反応にも関連し影響を与えると考えられている。
ラット実験で、閉じられた空間にいるラットが定期的に電気ショックが与えられた場合、音(条件刺激)と電撃(無条件刺激)が繰り返し組み合わせられると、ラットはその音が鳴るだけで硬直したりする恐怖反応を示し、さらには血圧が上昇するなどの反応も確認されている。
これらの条件づけの原理は、人間の場合も同様に自律神経系の支配する様々な反応を引き起こし、また情動に影響を及ぼすと考えられていて、情動的に中性な刺激が、不快な刺激(嫌悪刺激)と対提示されると、そのうちその中性刺激によりネガティブな情動を引き起こすことがこれまでの実験で示されている。
このように特定の無条件刺激の出現が予報でき、もし条件刺激が痛みの後続という信憑性のある予報となるのであれば、その条件刺激がないときには痛みも来ないと生体は予報できる。その間生体はくつろぐ(ストレスがなく)ことが出来る。
しかし、もしこのような信号が不定期で予測できるものが無ければ、生体は絶えず不安にかられ情動に壊滅的損傷を受けることにもなるわけである。
ラット実験では、このような状況下で遂には胃潰瘍になった結果もある(Seligman 1975)。
これらの結果からも、人間においても心的外傷後、ストレス障害(PTSD)、パニック障害といったいくつかの不安障害の根底には、恐怖の条件づけがあると思われ(Bouton,Mineka&Barlow 2001)、影響を及ぼすと考えられる。
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