道具的条件づけにおいても古典的条件づけと同様に、報酬などの快刺激以外に電撃や苦痛を伴う音などの負の嫌悪刺激が用いられる。このような罰による訓練では、反応の後に嫌悪刺激や嫌悪事象が随伴し、その反応のその後の出現機会を弱めたり抑制したりすることになる。
望ましくない反応の直後に嫌悪刺激が一貫して伴うのならば、その望ましくない反応は効果的に除去することが可能であり、また適切な代替反応に報酬が与えられることでより効果的になる。しかし、罰はたとえ望まない反応を抑制することが可能でも、下記の不利益も起こり得る。
①罰の効果は、たいてい報酬の効果と同じように、「教えられる」ところの大きいものではない。
報酬は本質的に「やったことをやり続けなさい」なのに対し、罰は「それを止めなさい」であり、その後をどうすればよいか教えることはない。なので生体は、それほど望ましくない反応さえ罰せられた反応の代わりにする可能性もある。
②罰はたいてい罰する人(警察、親、教師など)や、その罰が起こった状況(従来、家庭、学校など)を嫌ったり、恐がらせたりする結果になることも多い。
③激しい罰や苦痛を伴う罰は、当初の望ましくない行動よりもさらに深刻な悪い行動を引き起こすかもしれない。
これらの事柄も踏まえ、嫌悪刺激を用い何回か経験させるとその刺激により行動、反応の抑制を行うことが出来るが不利益も起こり得ると言うことである。
逃避と回避行動
生体は、行動中の嫌悪事態を終結させるための反応(その場から素早く逃げる)を学習する。例えば、ひどく雑音がする部屋を不快に感じるとその部屋を出るなどである。これを逃避学習(escape learning)と呼ぶ。また嫌悪事態をその開始のときから避けるための反応(その状況に遭遇しないように、あらかじめ回避する)も学習する。
例えば、ある部屋が過去に大きな雑音(不快)に結びついたら、その部屋を最初から避けるなどである。これを回避学習(avoidance learning)と呼ばれる。これらの学習は、たいてい逃避学習の後に回避学習がおこなわれる。
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