知覚
この章での基本的概念 | 概念の簡易的な説明 |
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知覚 (perception) |
ボトムアップの感覚過程(生の感覚経験)とトップダウンの現実世界の知識との結びつきに基づいて、その世界についての内的モデルを構成すること |
象徴 (symbols) |
それそのものではなく、何か別のことを表現し、言及しているもの |
生態学的光学理論 (theory of ecological optics) |
環境からの情報、すなわちもっと正確に言えば、網膜上の二次元表象が普通の生活を送るのに実際に必要なことをすべて行っている |
環境モデル (model of the environment) |
意識的に知覚し、意思を決定し、そして行動するときに私たちが使用する脳内の世界の表象 |
知覚の恒常性 (perceptual constancy) |
「知覚」の感情現象 |
固視 (eye fixations) |
眼球が比較的静止している間にすばやく視覚情報を得る時間 |
サッカード (saccades) |
視点の変化とともに生じる両眼の不随意的で急速な運動 |
凶器注目 (weapon focus) |
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追唱 (shadowing) |
聴覚的メッセージを繰り返して言うこと |
非注意(不注意)による見落とし (inattention blindness) |
特定の対象に注意を向けていないために、その刺激に気づいていないこと |
変化の見落とし (change blindness) |
少し前、たとえば1秒前に現れた視覚刺激の大きな変化にさえ気づくことができないこと |
奥行手掛かり (depth cues) |
ある対象の奥行についての情報を、論理的にあるいは数学的に提供するさまざまな種類の知覚情報 |
両眼視差 (binocular disparity) |
それぞれの目による見え方の差異 |
ストロボスコープ運動 (stroboscopic motion) |
映画のように、一連の動作に対応するよう配列された刺激様相の一コマずつを連続的に提示することにより、運動の錯覚が生じる |
選択的順応 (selective adaptation) |
知覚において、動きを見る際に生じる動きに対する感受性の低下。知覚した動きやそれに類似した動きに対する感受性は低下するが、方向や速度が著しく異なる動きに対する感受性は保たれることから、順応は選択的である。大脳皮質の神経疲労によって生じると考えられる |
選択的注意 (selective attention) |
環境の特定部分に注目している間、他を無視する過程 |
原始的特徴 (primitive features) |
形や色のような特性 |
結合の問題 (binding problem) |
色や形のようなさまざまな原始的要素の対応する、脳の様々な部分における活動は、対象の一貫した近くにどのように結びついているか |
錯覚的結合 (illusory conjunction) |
対象の二つの分離した属性の誤った結びつき |
特徴統合理論 (feature-integration theory) |
アン・トリーズマン(Anne Treisman)によって最初に提案された、対象知覚を理解する基礎 |
視覚的探索課題 (visual search task) |
参加者が、ある目標対象が妨害表示の中にあるあるかどうかを決定することが求められる課題 |
力学的制御理論 (dynamic control theory) |
少数の視覚的原始的特徴に敏感な初期の固定的な知覚体制の代わりに、構成要素がさまざまなときに種々の課題を行うのにすばやく再構成される順応性のある知覚体制が存在するという理論 |
単純細胞 (simple cell) |
脳の皮質視覚野にある細胞で、視野内にある特定の方向や位置の光る棒や直線に反応する |
複雑細胞 (complex cell) |
脳の皮質視覚野にある細胞で、視野内のどこにでも位置する特定方向の光や棒に反応する |
超複雑細胞 (hypercomplex cell) |
視覚皮質にある細胞のことで、特定の方向や長さに反応する |
コネクショニスト・モデル (connectionist models) |
節点からなるネットワークをそれらの間の興奮や抑制の連結に結びつける認知処理(知覚のような)についてのモデル |
節点 (node) |
ネットワーク構造における結び目のこと |
対象物の再認 (object recognition) |
対象物の物理的特徴に基づいてその対象物がなんであるかを決定すること |
ネットワーク (network) |
人間や情報システムの接続状態を表すのに使われ、相互が自立しながらも網目状に接続されている状態を指す場合が多い |
興奮性結合 (excitatory connections) |
結合ネットワークにおける二つの節点間の結合は互いに興奮しあう |
拡大したネットワーク (augmented network) |
興奮性結合だけでなく抑制も含んだ回路のこと |
トップダウン・フィードバック結合 (top-down feedback connections) |
高次の水準から低次の水準へ進む結合 |
ジオン (geons) |
幾何学的イオン(geometric ion)の略語。近くにおいて対象物の特徴を構成する幾何学的形態(円柱形、円錐形、視覚中、楔形など)のこと。対象の認知は、市に対象のジオンが表示されるかぎり良好である |
ボトムアップ過程とトップダウン過程 (bottom-up and top-down processes) |
ボトムアップ処理は、知覚、学習、記憶、理解において生体のそれまでの知識や予想ではなく、入力された情報によってのみ駆動される処理様式。トップダウン処理は、知覚、学習、記憶、理解などにおいて、入力された情報というよりも生体のそれまでの知識や機体によって駆動される処理 |
マガーク効果 (mcgurk effect) |
対立する聴覚的情報と視覚的情報からの結果のこと |
相貌失認 (prosopagnosia) |
顔の認識する能力の損失のことで、脳の損傷により引き起こされる |
逆転効果 (inversion effect) |
さかさまにされた顔は、さかさまにされた他の視覚刺激(自動車や家のような)に比べて、再認が極端に難しくなるということ |
失認 (agnosia) |
再認における崩壊あるいは障害に関する一般的な用語 |
連合失認 (associative agnosia) |
視覚的に提示されただけでは対象物を再認することに困難さを持つ症候群 |
抽象化 (abstraction) |
一つの事例ではなく、複数の事例を特徴づける性質 |
恒常性 (constancy) |
対象の感覚的表れが徹底的に変化するときでさえ、形、大きさ、色のような対象の基本的な物理的特徴の知覚を維持する脳の能力 |
利用できる波長 (available wavelengths) |
あなたの目に達する紙を反射していない光の波長 |
源波長 (source wavelengths) |
ある光源からくる波長 |
空間定位 (spatial localization) |
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反射特徴 (reflectance characteristic) |
他よりもいくつかの波長をどれくらい反射するかを決定する色のついた紙の特徴 |
錯覚 (illusion) |
偽りの、あるいは歪曲された知覚 |
後部組織(注意のための) (posterior system) |
空間における位置、形、色のような対象の知覚的特cを表すその対象が持つ特徴に基づいて、多くの中から一つの対象を選択することに責任を負っているもの |
前部組織(注意のための) (anterior system) |
(空間における位置、形、色のような)対象の知覚的特徴をいつ、どのように選択のために使われるかを制御するように設計されている |
選好注視法 (preferential looking method) |
乳児の知覚的好みを調べる方法。二種類の刺激を乳児に同時に提示し、個々の刺激について注視時間を調べる |
馴化法 (habituation method) |
幼児の知覚研究で使われる技法。この技法は、幼児に新奇刺激を見せ続けると彼らがそれに飽きてくる(慣れ)という事実に基づくものである。したがって、ある対象が幼児にとってどの程度新奇であるかは、彼らがその刺激を見続ける時間を測定することで知ることができる |