感覚過程
- 感覚と知覚
- 閾値-絶対閾と弁別閾
- 閾値以上の感覚
- 感覚符号化
- 視覚-1
- 視覚-2(感度)
- 視覚-3/パターンを見る
- 視覚-4/色を見る
- 三原色による等色
- 聴覚-音波
- 聴覚系
- 音の強さと高さ
- 時間説と場所説
- 嗅覚-嗅覚系
- 味覚-味覚系
この章での基本的概念 | 概念の簡易的な説明 |
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感覚 (sensation) |
単純な刺激に付随する経験 |
知覚 (perception) |
ボトムアップの感覚過程(生の感覚経験)とトップダウンの現実世界の知識との結びつきに基づいて、その世界についての内的モデルを構成すること |
逆行性投射 (back projection) |
感覚入力の方法を変化させる活動 |
絶対閾 (absolute threshold) |
無刺激から確実に区別できる刺激の最小量 |
精神物理学的手続き (psychophysical procedures) |
感覚様相の閾値を測定するのに使われる手続き |
試行 (trials) |
実験の構成要素で、刺激提示とその刺激に対する反応機械の繰り返しのこと |
暗順応 (dark adaptation) |
参加者を連続的に暗闇か照度を下げた条件に置くと、光に対する感受性が増大する |
光子 (photon) |
光エネルギーの最小単位 |
標準 (standard) |
他の刺激強度が判断されたものに対する刺激強度の任意レベル |
弁別閾 (difference threshold) |
二つの刺激を区別するのに必要な刺激強度の最小の差異のこと |
丁度可知差異 (just noticeable difference(jnd)) |
二つの刺激を区別するのに必要な刺激の大きさの最小の差異のこと |
ウェーバー比 (Weber fraction) |
比例定数のこと |
閾値上:閾値以上の条件 (suprathreshold:suprathreshold conditions) |
刺激強度が閾を上回る条件 |
ベキ関数 (power function) |
YとFの関数は(基本的に)Y=frである |
指数(ベキ関数の) (exponent(of power function)) |
それぞれの感覚様相の機能を特徴づける特有の数 |
信号検出理論 (signal-detection theory) |
精神物理的判断を含む感覚と決定過程の理論であり、雑音中の弱い信号を検出する課題に関連している |
信号 (signal) |
観察する人が実験で検出しようとする情報で、「雑音」と正反対のもの |
ノイズ (noise) |
観察する人が検出しようとしているものと無関係な環境内にあるもの |
信号対ノイズ (signal versus noise) |
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バイアス (bias) |
観察する人が設定する基準で、個々の反応を行うための基準 |
感覚対バイアス (sensation versus bias) |
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ヒットと誤警報 (hits and false alarms) |
信号が存在するときに正しく「はい」と応答する反応と、信号が存在しないのに「はい」と応答する反応 |
感度とバイアス (sensitivity and bias) |
信号が存在するときに正しく「はい」と応答する反応と、信号が存在しないのに「はい」と応答する反応 |
期待 (expectation) |
何かが生ずる際に抱く、過去経験による考え |
時間的様相 (temporal pattern) |
電気インパルスの間隔を置く系列 |
網膜 (retina) |
光に反応する眼の部位。桿体(かんたい)と錐体を含んでいる |
桿体(かんたい)と錐体 (rods and cones) |
桿体:目における無彩色感覚を媒介する網膜の構成要素の一つ。とくに周辺視や暗視(低輝度視)に重要とされる。錐体:網膜上に散在する特殊な細胞で、特に中心窩に集中して見られる。錐体は、有彩色と無彩色の両方に作用する |
中心窩(ちゅうしんか) (fovea) |
眼球内の網膜の中心部分の小さな領域で、錐体が高密度に分布しており、日中に視対象の細部や色を見るのに適した最も高感度の部分 |
変換 (transduction) |
物理エネルギーを、脳に達することのできる電気信号に翻訳する |
暗順応曲線 (dark adaptation curve) |
暗闇にいる長さとともに絶対閾が減少する |
空間視力 (spatial acuity) |
形の細部を見る能力 |
視力 (visual acuity) |
細部を識別する眼の能力 |
対比視力 (contrast acuity) |
明るさの違いを見る能力 |
色の恒常性 (color constancy) |
見慣れた物体の刺激特性を変えるような証明の変化にもかかわらず、同じ色の物体に見える傾向 |
色相 (hue) |
色の名前によって最もよく表される特質 |
明るさ(明度) (brightness) |
色のついた表面から反射されているように見える光の量 |
鮮やかさ(彩度) (saturation) |
色の純度 |
等色実験 (color-matching expreriment) |
物理的に異なる二つの色を同じ色だと参加者が見る傾向を測定する実験 |
異性体 (metamer) |
一対の対等な光、すなわち物理的な構成は異なるが見かけは同一である二つの光のこと |
二色覚 (dichromatism) |
赤-緑系統、青-黄系統のうちどちらか一方の系統が損失している色覚異常のこと。赤-緑型色覚異常は少なくないが、青-黄型色覚異常はきわめてまれである |
(音の)周波数 (frequency(of a tone)) |
一秒あたりの周期回数 |
ヘルツ(Hz) (hertz) |
音波の振動数、特に一秒あたりの周波数の測定に使われる単位 |
(音の)振幅 (amplitude(of a tone)) |
波の最高点と最低点の間の圧力の差 |
音の大きさ (loudness) |
刺激を構成する音波の大きさに関係した聴覚の音の強さ次元のことで、振幅が大きくなるにつれて、音も大きくなる |
音色 (timbre) |
音の複雑さに関する私たちの経験 |
鼓膜 (eardum) |
外耳道から中耳に向かう内側の端にある膜 |
耳道 (auditory canal) |
外耳から鼓膜までの狭い通路 |
前庭窓 (oval window) |
内耳にある蝸牛の膜のことで、連結した三つの骨(つち骨、きぬた骨、あぶみ骨)を経て鼓膜からの振動を受け取る。前庭窓で生じた振動は蝸牛内部のリンパ液に類似した振動を引き起こし(リンパ流が生じ)、最後に聴覚受容器である有毛細胞を活性化する |
(耳の)つち骨、きぬた骨、あぶみ骨 (malleus,incus,stapes(of the ear)) |
それぞれ、中耳にある三つの小さな骨の一つ |
蝸牛 (cochlea) |
聞くための受容器を含む内耳の一部 |
基底膜 (basilar membrane) |
コルチ器官を支えている蝸牛のらせん器の中にある耳の薄膜。この基底膜の動きが、コルチ器官の有毛細胞を刺激し、聴覚刺激の神経的影響を引き起こす |
有毛細胞 (hair cells) |
蝸牛に存在する毛状の受容器。基底膜の振動によってたわみ、それから電気的インパルスを脳へ送る |
時間説 (temporal theory) |
入力信号(音)に対して、同じ振幅の位相を固定していき、その時間的な繰り返しパターンと、神経発火の時間パターンが関係している、とするもの |
共鳴 (resonance) |
一定の周波数の音が数学的に対等な距離を反響する程度 |
場所説 (place theory) |
入力信号の周波数によって、基底膜の反応位置が異なり(基底膜上で周波数分析を行っている)、さらに聴神経においても周波数の部位的構造がみられる(周波数局在性)ことから、基底膜上のどの有毛細胞が興奮するかによって音の高さが知覚されている、とする説 |
フェロモン (pheromones) |
同種の他の個体によって嗅ぎ分けられる空気中に漂う化学物質 |
嗅球(きゅうきゅう) (olfactory bulb) |
嗅覚またはにおいにかかわる脳組織の一部で、鼻腔にある受容器と嗅皮質の間の中間点に存在する |
嗅皮質 (olfactory cortex) |
においの感覚に関係する脳の領域。側頭葉の内側にある |