条件づけを行った後、学習された行動が強化されなければ消去が起こり、その行動が生じる頻度は低下してしまうが、一度行動が確立されれば時折しか強化をしなくても一般に行動は維持される。
このように時々しか強化を与えないやり方を部分強化と呼ばれる。
この部分強化では、毎回強化を行う連続強化にくらべて条件づけの消去過程が非常にゆっくり(消去抵抗が大きい)している。このような現象は部分強化効果と呼ばれる。
また、部分強化を行う場合、強化をどのように配分し注入するかなどの配分式を強化スケジュールと呼び、反応数(反応の回数)を基準にし1,2回に一回強化するなどの方式や時間を基準にし一回強化を行うと1分間無強化にするなどの方式があり、これらを組み合わせた様々な方式が考案されている。
以下は、4つの基本的な強化スケジュールについての典型的な反応様式になる。
1)比率スケジュール(retio schedules)
これは、強化が生体のなす反応数に基づくもので、給与制度でいうところの出来高払いで支払いを受ける労働者に似ているものである。比率は固定でも変動でも構わない。
2)定比率スケジュール(fixed retio schedules:FRスケジュール)
強化がなされるまでの反応数が一定の値に固定される。もしFR5なら50反応が必要といった具合で、一般に生体は最初のうちは低い比率で訓練され次第に高い比率へと段階的に変えられる。
例えば工場などで従業員が10個の製品を作ると100円だったものが、50個で100円になるといった具合である。
このFRスケジュールの下での行動の特徴は強化が行われた直後に反応休止があるということで、先程の例でいうなら報酬を得るのに十分な量を作り終えた直後にまた新しい一個を作り始めるのは億劫に感じるようなものである。
*赤い点は強化で、強化直後の水平は反応休止を示す
3)変比率スケジュール(variable retio schedule:VRスケジュール)
生体が一定の反応数に達した後にだけ強化がされるが、その数は予測できないように変動する。
VRスケジュールの場合では強化に必要な反応数が、あるときは1、別のときは10、そして平均は5といった具合なり、VFスケジュールの下で生じる行動の特徴と異なり、このスケジュール下での生体の行動には反応休止が起こらない。
なぜなら生体は強化のないときを見破る術を持っていないからで、これはパチスロなどが良い例で、強化(報酬)に必要な反応数(試行)は変動であり、やっている人は強化がいつ起こるか予測する術を持っていないわけである。
このVRスケジュールは、他のスケジュールの中でも非常に高率の反応を引き起こす事が可能である。
4)間隔スケジュール(interval schedule)
生体は、一定の時間間隔が経過した後にだけ強化が入手でき、このスケジュールもまた固定と変動がある。
①定間隔スケジュール(FIスケジュール)
生体の最後の強化から一定の時間が経過した後の最初の反応が強化される。
例えば、FI2(分)スケジュールの場合、最後に強化された反応から2分経過した時にだけ次の強化が入手でき、その2分間の間に生じた反応には影響しない。このスケジュールに基づく反応の特徴として、強化直後に反応休止がありFRスケジュールでの反応休止よりも長い傾向がある。
もう一つの際立った特徴は、その時間間隔の終わりに近づくと反応率が増加することであり、しばしばスキャラップと言われる反応様式を生じる。
②変間隔スケジュール(VIスケジュール)
強化は一定の時間経過に基づくが、その間隔の長さは予測できないように変動する。
例えばVI10(分)スケジュールの場合、強化に必要な時間間隔が、ある時は2分、ある時は20分などで平均10分と言った具合になる。FIスケジュールの下で見受けられる反応の変化と異なり、このスケジュールの場合生体は、一様に高率の反応を呈する傾向がある。
概要説明 | 比率スケジュール | 間隔スケジュール |
---|---|---|
固定 | 定比率スケジュール(FR) 強化は固定した反応数に与えられる |
定間隔スケジュール(FI) 強化は前の強化から一定時間経過した後に与えられる |
変動 | 変比率スケジュール(VR) 強化は予測できないように変動するある反応数の後に与えられる |
変間隔スケジュール(VI) 強化は予測できないように変動するある時間間隔の長さで、前の強化から一定時間が経過した後に与えられる |
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